「佐久島」を巡る、想い
mいちばん初めに船に乗って、降りるという時からゆったりとした佐久島の空気感はすごく感じられました。
驚いたのが、船が出港するとすぐに、海にせり出したコンクリートの道に
カモメがワーっと並んでいるのが窓から見えたんです。
その様子をオブジェにしたのが、アート作品のひとつ「カモメの駐車場」なのだと、
そこで教えてもらいました。
H普段見る何気ないことが、切り取ってみるとじつは特別なことなんだって再認識することってありますよね。
きっと島民の方にとってはごく日常の風景でしかなくて、そんなひとつひとつのことが
おそらく島の中のアートのモチーフになってる―
人物のほかに、今回の写真展には、自然物を被写体にしたものも多かったですよね。
m「弘法みちさんぽ」というタイトルで、“弘法道”という弘法様を辿る道をたくさん撮っていたのですが、
山の中に入ると鳥の声がしてとても気持ちがいいんです。
海では風が強くても、山の中は静かなんですよね。
のんびりとよく観察して歩いていると、こんな小さな鳥の巣がポンっと落ちていたりして、
そんな写真も撮らせてもらいました。なんだかやさしい気持ち。
Hmonchouchouさんらしい、柔らかでやさしさの詰まった写真のひとつひとつをみて、
佐久島全体の雰囲気といったものが素直に伝わってきました。
乳母車を押すおばあちゃん、海辺で談笑する漁師さんたち、山の中で佇む弘法様や、そっと咲いている
赤い花など。何気なくて、ゆったりと流れる素朴な時間。
m佐久島がアートの島として知られるようになって、島に転々とする
アート作品を見に来る方がたくさんおられます。
そんな中で、また少し違った視点での佐久島の魅力が、展示を通して伝えたかったことのひとつなんです。
自転車のレンタルもあって効率よくまわることもできるんだけど、
ゆっくりと歩いて目を配らせてみることで、気付く発見もたくさんある。
(つづく)