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entranceお知らせ 2024-10-11

\entrance代表の浜田さんと浜松市立舞阪小学校へ出前授業に伺ってきました/

昨日10月10日浜松市立舞阪小学校さんからご依頼いただき、元々古橋織布さんで働かれていて現在entrance代表の浜田さんと、3年生・4年生120名の児童向けの出前授業に伺ってきました。

テーマは「遠州織物」を学ぶ、ということで、事前に浜松市で発行している【布の教科書】を送ってもらい、子どもたちはしっかりと予習をしてくれていたそうです。

授業の冒頭、「遠州織物」という言葉を聞いたことが今までありましたか?と最初に尋ねると、ほとんどの子が知らない、と。

そんなわけで、「遠州織物」とはどんな生地なのか?そしてここ浜松における地域産業との繋がりを含めた繊維業の歴史、という2本の柱で授業をさせていただきました。

 

 

 

繊維業における遠州産地の特徴というのは、一言で言えば“多様性”です。
細幅・小幅・広幅に加え注染ぞめまで含めた、これほど多様な生地が作られている産地は他に例がなく、まさに遠州産地の歴史と技術の賜物ですが、その中でも繊維業界で世界的に知られているのが「アパレル高級生地」の産地としての遠州織物。

わかりやすく言うと、1着20万円もする高級メゾンブランドのシャツに使われているのが遠州織物です。
メゾンブランドは価格に糸目をつけず、最高の生地を世界中探し回って、この浜松の遠州織物にたどり着きます。

では、
・なぜ、そんな高級生地と言われる生地を遠州で作ることができるのか?
・なぜ、そんな高級生地が作られているのに地元の人に知られてこなかったのか?
・そもそも高級シャツ生地って、どんな生地なのか?

 

 

 

 

普通に考えれば、遠州織物が20万円もするシャツに昔から使われてきた理由ははっきりとあるわけです。
そして、それが地元でも知られてこなかった不自然な状況の理由もあるわけです。
でも、意外と大人でもそこまで考えることがありません。
そんな話を、遠州の機屋さんたちのお仕事の映像とともに、生地や道具を使って解説させていただきました。

 

 

 

 

そして、地域産業の歴史の話。
浜松の子どもたちは、浜松が「自動車の街」ということはよく知っています。学校でもしっかりと習いますし、ご両親やご近所さんも、自動車関係の会社勤めの方が多い。
でも、繊維業たる遠州織物や、国内有数の産出額を誇る農業とのつながりを教えてもらうことはなかなかありません。
一見、それぞれの仕事が別々に見えても、地域産業というのは必ず密接に結びついています。

自動車メーカーのトヨタも、スズキも、元々は織機メーカーです。
トヨタグループ創始者の豊田佐吉は、遠州の湖西市では生まれで、日本で初めて自動織機を発明しました。
これに続き、鈴木式織機、阪本式織機という織機メーカーが遠州で生まれ、日本の近代繊維業がここからスタートするのです。
戦後の最も日本が元気だった時代に、最高峰の技術を持ったエンジニアたちがこの遠州に結集していく。

そして、トヨタ・スズキなどの織機メーカーは、その技術を応用し世界的な自動車メーカーへと発展していきます。
浜松にホンダが生まれたのも必然的ですし、楽器のヤマハ・カワイも、遠州の緻密な職人技術の上で生まれた発明家たちです。
自動織機を開発し、改良していくというのはそれほどの高度な職人技術が必要だったわけです。

では、なぜこの遠州にそれほど多くの織機メーカーが次々と生まれたのか?

それは、遠州が江戸時代中期以降、綿花の一大産地だったからです。日照量が豊富で温暖な遠州地域では、どんな農産物もすくすくと育ちます。
おもしろいことに、繊維業と同様、浜松農業の特徴も「多様性」。

浜松市の農業産出額はなんと全国6位です。
国内で農業を特徴とする地域は通常、それほど都市化が進んでいない地域であって、「工業の街」と呼ばれる市では考えられない上位にランキングされているのが浜松のおもしろさです。
このように綿花栽培に適した地域であったことから、農家が副業として手織りの綿織物を作り始め、遠州木綿として市場に出回るようになり、綿織物の産地としての土壌が自然とできていったのです。
大変な手織り工程をなんとか自動化したい、とニーズが生まれるのは地域としては必然で、幼い頃から夜な夜な手織りをする母を見ていた豊田佐吉少年の発明につながっていくわけです。

 

 

 

 

授業の中で、子供たちがひときわ興味を持ってくれた話の一つが、棚田での綿花栽培プロジェクトでした。
それは単に、収穫楽しそう、糸紡ぎ面白そう、という感心からがほとんどですが、でもそうして興味を持ってくれることから、地域産業の歴史、日本のものづくりの歴史を伝えたいというのが、「久留女木の棚田プロジェクト」の目的の一つです。

 

 

 

伝える、というのはなかなか難しいことで、伝え方もそうですし、そもそも伝えられる場所はそんなに多くはありません。
HUISは、売り場でも、こうした教育の現場でも、伝えられる機会をもらえているのはありがたいことです。

それだけに一つ一つの場所で気を抜くことなく、伝えられるだけの事業と準備を整えて、丁寧に伝えていきたいと思います。

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高品質な“遠州織物”を使用したシンプルな衣服。
ふくふくとした豊かな生地の風合いを大切に。
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