半年かけて制作し、9月からHUIS Youtube チャンネルにて公開している【「遠州から 世界へ」コーデュロイ生産加工密着シリーズ】の制作とその背景についてご紹介いただきました。
存続のための新たな情報発信の試みをこうして一面で取り上げていただき有り難く思うと同時に、それほどまでに産地が置かれている状況は深刻です。
こうして様々な媒体で取り上げていただくことで、国産コーデュロイ「コール天」の認知、生産の担い手ともに広がる契機につながればと思います。
ぜひお読みいただきたく、抜粋してご紹介させていただきます。
──────────────────
天竜社産地で生産されるコール天の国内サプライチェーンが寸断の危機に瀕している。
仕事量の減少や高齢化に伴う担い手不足によって、仕上げやパイルのカットといった製造工程に携わる事業者が邀減。
工程によっては、国内で最後の1社という状況に陥っている。
一方、モノ作りの灯を絶やさないため遠州産地の産元、タケミクロス(浜松市)が発信に力を入れ始めた。
「たたき洗いをすることで、生地のコシが抜けてソフトな畝や毛羽立ちにつながる」
仕上げ加工を手掛ける磐田産業の雪島千寿専務がコール天の水洗い設備の前で説明する。
生地表面をブラシでこすって毛羽立たせる中国品にはない特別な工程。
「これを何度も繰り返すことで日本製のコール天ができます」と続ける。
日本のコール天作りにとって欠かせないが、現在国内では同社が手掛けるのみ。
(中略)
同社の生産数量も落ち込んでおり、現在は月産3千反ほど。「ピーク時は1日で3千反あったが…」とこぼす。
商況悪化の要因は中国品の流入だ。
日本品は手間がかかる上に中国品と比べて価格が高いため発注側から敬遠された。
工場の加工料金が上がらないことも廃業に拍車を掛けた。
織布工場も同様で、天竜社織物工業協同組合によると、ピーク時に1600社あった工場は現在36社(組合加盟)にまで減った。
コール天は横パイルをカットするカッチングと呼ばれる工程があるが、こちらも事業者の減少が著しい。
以前まで200社以上あったが、現在残るのは3社のみで、本格的に稼働するのはカネタカ石田(磐田市)の1社だけ。
同社の石田大輔社長は「日本製を求めるお客さんがいる限りは頑張らないと」と語る。
カッチングは熟練の技術が必要だ。
ガイドニードルという器具でパイルをすくい、その間にカッターを通してパイルを切る。
細畝の場合はパイルの列が700以上あるが、全て手作業で行う。
生地をセットする台とカッターの距離感も重要で、近すぎると生地まで切れてしまい、離れ過ぎるとパイルが切れない。
「コンマ何ミリの世界で、全てが決まる」(石田社長)。
こうしたコール天のモノ作りをPRしようと立ち上がったのがタケミクロスの竹内洋輔社長だ。
(中略)
竹内社長は「素晴らしい技術なのに、その良さが届いていない」と指摘する。
タケミクロスは自社商品でもコール天の取り扱いを始めている。
30年前に手掛けていた生地をリバイバルした。
「日本のコール天はひと手間加えることで、その仕上がりが中国品とは全く異なる。例えるなら松阪牛と海外産牛肉ぐらい違う。もっと日本のコール天が好きな人を増やしていきたい」
と意気込む。
日本のコール天がどのような工程を経て生まれるかを知る消費者は少ない。
磐田産業の雪島専務も「まずは発言することで興味を持ってもらうことが重要」と強調する。
カネタカ石田の石田社長は「事業を続していくためには適切な加工料と安定した
仕事量が必要」とした上で、「多くの人にコール天の服を着てもらい、日本のコール天の見方を変えてもらえれば」と語った。
──────────────────
■「遠州から 世界へ」コーデュロイ生産加工密着シリーズ
・日本に残る最後の一社 コーデュロイ加工場〜磐田産業(前編)〜
https://youtu.be/P1O0coUrfEM
・日本に残る最後の一社 コーデュロイ加工場〜磐田産業(後編)〜
https://youtu.be/NKepHQfmHTk
・日本のコーデュロイを一手に背負うカッチング職人〜カネタカ石田〜
https://youtu.be/8y8OQ1WIYpk
Youtube で「HUIS 遠州織物」と検索🔍
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
高品質な“遠州織物”を使用したシンプルな衣服。
ふくふくとした豊かな生地の風合いを大切に。
HUISweb | www.1-huis.com
HUISonlinestore | https://1-huis.stores.jp
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –