「HUIS.の服づくり」(主婦と生活社 2024年)より、掲載内容を抜粋してご紹介します。
__________________
chapter 5 素晴らしき哉、メイド・イン・ジャパンの生地
①生地は農産物と同じ
__________________
遠州織物は遠州で生まれた生地のこと。HUISの服をきっかけに遠州織物を知ってくださる方は増えていますが、ファッションにおいて“産地”という言葉は、多くの方がしっくりこないと思います。
国内の繊維産地は地域ごとの資源や環境などの特色をいかして、長い間、技術を育んできました。国内産地の多くは世界的に極めて高い技術を持ち素晴らしい生地が作られています。本来なら農産物や水産物と同じように知られるはず。でも日本に住む私たちはあまり知りません。なぜでしょう?その理由は、アパレル業界特有の要因にあります。
繊維業の特徴のひとつは、流通において中間に関わる人が多いこと。アパレルは、素材そのものの価値よりもデザインや見せ方が尊重される世界です。それ自体はとても文化的で尊いことです。だからこそファッションは魅力的でこれほど大きな産業になっているのでしょう。ですが、こうした部分での優先順位を持つ人をたくさん介することで、“素材そのものの価値”の情報はどんどんと薄まっていきます。どの国で、どの産地で作られた生地か、という情報すら、流通の途中で消えてなくなってしまうのです。そして素材の価値の情報が薄くなるのであれば、洋服に使われる生地は海外で効率良く生産できる安価なものに置き換わっていくということが、実際、自然なことなのです。

農産物も繊維産地と同様、その地域の環境に合うものが特産品になります。例えば浜松市は日照量が豊富で、地域内に地形や土質が異なるさまざまなエリアがあり「国土の縮図」といわれるほど。海岸に面した地域は温暖な砂地で、明治時代から玉ねぎの栽培がさかん。一方、水はけがよく、やせた土地が広がる山間地ではおいしいみかんが育ちます。こうした特産物の生産や流通、ブランド化には各地域に根付く農協が大きな役割を果たしてきました。農作物に、洋服のようなデザインディレクションは不要です。中間に関わる人たちが、常に◯◯産という情報とともに、素材そのものを流通させていきます。そのおかげで、私たちは味とともに地域性も感じて、豊かな食文化を享受することができるのです。

国内の繊維産地の中で比較的知られているのは、今治タオルや岡山のデニムなど。その理由のひとつはデザインの役割が薄く、生地自体が最終製品に近いからだと考えています。こうした中で、中間材である遠州織物のような産地が知られるようになるためには、流通の中にいる僕たちのような人間がどれだけ産地の価値ある情報を発信できるかが鍵だと思っています。

– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
高品質な“遠州織物”を使用したシンプルな衣服。
ふくふくとした豊かな生地の風合いを大切に。
HUISweb | www.1-huis.com
HUISonlinestore | http://1-huis.stores.jp
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –









