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知らずにいた故郷の誇り、遠州織物の今と未来 2026-03-15

【知らずにいた故郷の誇り、遠州織物の今と未来】vol.15「AIでは取って代わることができない、手仕事の価値」

浜松出身のライター・宮崎駿(みやざきしゅん)さんが綴る『知らずにいた故郷の誇り、遠州織物の今と未来』、第15回「AIでは取って代わることができない、手仕事の価値」です。

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「AIが発展するほど、どんどん人の仕事が奪われていく」
ここ数年、いろんなところでこういった話をよく聞くようになりました。確かに、ChatGPTを中心に、AIはとてつもないスピードで進化しています。AIが肩代わりするようになった業務領域も、少なくはないでしょう。

私の本業でもあるライター業でも、生成AIを使った原稿執筆や、誤字脱字・表記揺れのチェックなど、影響は確実に広がっています。そう言っている私自身も、一部の業務ではAIの力を借りています。ただ、今すぐに多くの人の仕事が奪われる、とまでは言えないでしょう。

きっと、パソコンやインターネットが普及し始めた頃にも、今と同じような社会の雰囲気があったと思います。結局、恐れていたほど全ての仕事が奪われ尽くすなんてことにならず、むしろ新しい仕事も数多く生まれたはずです。今回のAIの波でも、この先どこまで影響が出るのかはまだわかりません。

とはいえ、一定数の仕事がすでに人の手からAIに渡っていることは事実ですし、影響はこれからも広がっていくでしょう。

前提として、業務の効率化や、専門性の高いことに多くの人が手軽に挑戦できるようになったりと、AI技術が進歩していくことは、間違いなく必要で良いことだと思います。ただ、現在29歳、40年近くキャリアが残っている身として感じるのは、「いつか自分の仕事も完全に乗っ取られるんじゃないか」という不安。うまくAIと共生していけたらとは思いますが、どうしても見過ごせないプレッシャーがあります。

と、ここまで考えた時に、手仕事や職人の技術の強みを再認識しました。

現在AIが多く活用されている領域は、一般事務や経理・会計処理、カスタマーサポートなど、「ルールに従って正確かつ迅速に作業を繰り返し、効率的に平均的な結果を生み出す」というAIの強みが活きる分野です。他にもたくさんの活用事例はありますが、個人的にはこういった領域で働く人への影響は、非常に大きかったのではと感じています。

一方で、この連載を通じて学んできた遠州織物の世界は、その真逆にあると感じています。整経では、私からすると無数にも思える糸を一本一本手で立て、張り具合を指先で確認しながら均一なテンションで巻き取っていく。経通しでは、経糸を指示通りに完璧な順番で一本ずつ通していく。織りの現場では、糸の状態やその日の気温・湿度に合わせて、職人が織機を細かく調整し続けている。

どの工程も、職人の手と目、そして長年の経験から培った感覚が、織物の品質を支えています。どれだけ技術が進んでも、長年の感覚を頼りにしたこの仕事は、そうそうAIや機械では再現できないと思います。

そもそも、洋服の世界では機械による大量生産が、何十年も前から当たり前のことになっています。そこと比較すれば、非効率だと思われるかもしれません。でも誰にでもできることではなく、だからこそ生まれる価値がある。遠州織物のような、手仕事による生産方法が残り続けているのは、培われた技術がなければ作れない品質がある証拠です。

そしてAIが当たり前になった時代だからこそ、手仕事の価値はむしろ高まっていくのではないでしょうか。

AIによって、平均的な質のものが短期間で大量に生み出される。これはアパレル業界がずっと前から経験してきた大量生産の構造と、本質的には同じことだと思います。確かにAIを使って高品質の仕事を実現することも可能ですが、それは丸投げでできるものではなく、使いこなす人の力があってこそ。つまり、より良いものを生み出すためには、結局人の技術や経験が欠かせない。平均的なものが当たり前になるほど、人の手でしか作れない、徹底的にこだわり抜かれたものの価値は相対的に上がっていくはずです。

 

 

しかし今、この連載でも繰り返し向き合ってきた現実ですが、遠州織物の現場では後継者不足が深刻化しています。一つの工程の担い手が途絶えれば、分業制で成り立つ遠州織物そのものが成り立たなくなる。手仕事の価値が高まっていく時代に、その担い手がいなくなってしまっては元も子もありません。

AIの時代にこそ、手仕事の価値を多くの人に知ってほしい。そして、その担い手が一人でも増えてほしい。この連載で遠州織物を伝え続けることの重要性を改めて強く実感し、身が引き締まる思いです。私自身もライターとして、自分だからこそ書けるものを生み出し続けていきたいです。そして、一人でも多くの人に遠州織物のことを伝える。この役割を、追いかけ続けていきます。

 

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高品質な“遠州織物”を使用したシンプルな衣服。
ふくふくとした豊かな生地の風合いを大切に。
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