「縫製」と聞くと、ミシンで生地を縫い合わせるイメージがまずは浮かんでくるかと思います。
しかし、縫製工場さんの中では、より着心地のよい洋服に仕上げるために実はさまざまな工程があります。
例えば、生地を切る作業。
何枚も重ねた生地を、パターン通りに専用の機械でカットしていきますが、少しの狂いも許されません。
躊躇することなく刃を走らせていく様子は、まさに熟練の職人の技。
また、途中工程での細かなアイロンがけの作業も肝。
縫上りがよりきれいに仕上がるようにアイロンをかけて形を整えながら縫製を進めていくという技術があります。
これを「中アイロン」といいます。
一見簡単そうに見えますが、こちらも熟練の経験が必要な細かい手作業のひとつ。
そして、縫い終わった後も専任の担当者が一点一点丁寧にプレスをかけていきます。
プレスと一言でいっても、一つのシャツにけっこうな時間をかけてくださいます。
襟、袖、裾とすみまでビシッと最終プレスをかけてくださっている様子を見ると、本当に大事に縫っていただき出荷いただいているんだなあとあらためて感じます。
生地と同じように、縫製においても、とにかくあらゆる工程で必要となる手作業。
一つの洋服には、途方もない工程と「人の手」が詰まっています。
原材料(綿花やリネン)生産から、紡績、織布、縫製、そして店舗へ…”織布”と一言でいっても、その中もさらに整経、経通し、織布、整理加工…と工程が分業化されています。
アパレル業界は原材料生産から最終製品、そして販売までの間の工程と関わる業者が本当に多く、また原材料から最終製品となるまでの時間と物理的な距離もかかりすぎてしまい、生産者と消費者の間がもっとも遠い産業の一つと言われています。
そのため、生産者一人一人の想いや姿を想像すことが難しいというのが残念ながら実情ではあるのですが、売り場に並んでいる洋服は、多くの方の手作業が無数に積み重なった賜物なのです。
機屋さんに限らず、素晴らしい技術を持った国内の縫製工場も年々減少しています。
東日本大震災に続くコロナ禍も追い打ちとなり、多くの工場が閉鎖してしまいました。
今残っている縫製工場も、後継者不足に悩み技術の継承が難しくなっています。
でも、日本の機械だから、日本の技術だからできる品質が、間違いなくあります。
縫製の工程には、実際、省いても消費者にはわからない、見た目には大きな違いのない工程もあります。
でも、手をかけることで、時間をかけることでよりよい着心地のものになる。
長く使える服になる。
誰にも顧みられなくても、産地で継承されてきた技術と誇りが職人さんたちの手を動かし続けています。
こうした技術が残り、携わる方々がこれからも活躍していける時代になってほしいと思っています。
そして、”洋服”という最後のバトンを受け取っている私たちの使命として、これからも産地を支える皆さんのことをできるかぎり伝えていきたいと思っています。
今後、それぞれの職人さんたちの作業がより分かるような動画の投稿も、ひきつづきさせていただく予定です。
ぜひ楽しみにお待ちくださいね。
高品質な“遠州織物”を使用したシンプルな衣服。
ふくふくとした豊かな生地の風合いを大切に。
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