昨日から2日間にわたって、HUISの秋冬生地についてご紹介させていただいています。
昨日の投稿では、天然素材から生まれる生地の【保温性】と【防風性】についてご紹介させていただきました。
暖かな空気を溜め込んでくれるウールを代表する【保温性】のある生地、と、風も通さないほどの高密度で織る【防風性】を備えた生地の機能について解説させていただきましたが、今日ご紹介させていただくのは、こうした【保温性】と【防風性】を併せ持つハイブリッドな生地。遠州の高い技術をもとに、工夫を凝らして開発された特徴ある生地です。
まずは一つ目の生地「シャトルコーデュロイ」からご紹介させていただきたいと思います。
遠州という産地の面白いところのひとつは、「春夏生地の産地」と「秋冬生地の産地」の2面性を持っている、という点だと思います。
遠州織物というと「コットンの高級シャツ生地の産地」として知られていることはこれまでにもお伝えしてきましたが、こうした生地を織る機屋さんがあるのは、主に浜松市を中心とする地域です。
遠州はコットン素材を中心とした産地であることから、おのずと春夏製品に強みを持つ産地となります。これに対して、秋冬製品に強みを持つ代表的な産地は、愛知県一宮を中心とする「尾州織物」で、ウール素材を使った生地の世界的な産地となっています。このように、使う素材によって繊維産地には、強みと弱みのある時期があり季節性が生まれます。
こうした中で、遠州産地は秋冬シーズンの生地であるコーデュロイ素材の産地でもあることが、他の産地にはない特徴です。
コーデュロイが生産されているのは、同じ遠州地域の中でも天竜川以東の磐田市〜掛川市の地域で、同じコットン素材を使いながらも、シャツ生地を主に生産する天竜川以西の浜松エリアとは異なる特色をもっているのが面白い点です。
コーデュロイ素材は、コットン生地の中でも特別に保温性を持つ生地です。
ウールのような保温性を持つわけではないコットンをループ状に織り、これを加工して畝にかえることで、畝に暖かな空気を溜めることができる。コーデュロイは秋冬の暖かな素材として出荷できることから、コットン産地の弱みを補い、遠州産地として一年を通して需要のある生地を生産することができるのです。
世界でも最後に残る「高級コーデュロイの産地」と言われる遠州、その中でもHUISの使用する「シャトルコーデュロイ」は、旧式のシャトル織機でゆっくりと織ることから、現代の高速織機で作られるコーデュロイにはない生地の膨らみや柔らかさが特徴です。
また、細い糸を高密度で織り上げることから、軽量で堅牢性も高く、防風性も備えます。
保温性を生む畝と、防風性を備えた高密度のシャトルコーデュロイは、遠州の技術が生み出したハイブリッドな天然素材なのです。
そしてもう一つの生地が「綿ウールタイプライタークロス」。素材の内訳は「コットン90%・ウール10%」となっているユニークな生地です。
こちらの生地の秘密は、よこ糸に使われる「ウールコアヤーン」という特別な糸にあります。「ウールコアヤーン」という糸は、糸の中心にだけウール素材が入り、そのウールのまわりをコットンが包み込む、という形状の糸になっています。
ゆで卵を切った断面を、糸の断面としてイメージしていただくとわかりやすいかと思います。黄身の部分がウール、白身の部分がコットン、という状態です。
保温性を持つウールが糸の中心にあることで、着ている人の熱を適度に溜め込むことができ、着用していると次第に暖かさを感じることができます。
また、糸のまわりをコットンが覆っていることで、肌触りはコットンのやわらかな肌触りを味わうことができ、また、ウールの毛羽が外殻に現れないため洗濯をしても縮むことがなく、お手入れも楽ちんです。
さらに、春夏の超高密度生地・タイプライタークロスと同等の密度を打ち込むことで、防風性も備えることから、ウールとコットンのいいとこ取りと言える生地です。
こちらの綿ウールタイプライタークロスは、ウールコアヤーンを開発した紡績会社さんの技術にもぜひ注目したい点だと思います。
「シャトルコーデュロイ」と「綿ウールタイプライタークロス」は、HUISで定番となっている生地ですが、それぞれの生地の特徴を感じていただきながら着用いただくことで、一層愛着を持って味わっていただけると思います。
日本の誇る、至高の織布技術が生み出す機能的な生地を、ぜひお楽しみくださいね。
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高品質な“遠州織物”を使用したシンプルな衣服。
ふくふくとした豊かな生地の風合いを大切に。
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