ブログ

知らずにいた故郷の誇り、遠州織物の今と未来 2025-05-27

【知らずにいた故郷の誇り、遠州織物の今と未来】vol.2

「このままでは、遠州織物がなくなるかもしれない。」

つい数ヶ月前まで、遠州織物のことを知らなかった僕が、なぜHUIS.のパートナースタッフとして、遠州織物に関する情報発信に携わろうと思い手を挙げたのか。今回は、その理由を文章としてまとめました。

大きく分けると、きっかけは2つです。

1つ目は、前回の投稿でも書いたように、HUIS.と遠州織物の存在を知ったことです。28歳を過ぎて今更ながらでしたが、地元の浜松市には、これだけ誇れるものがあったということを、知ったことで興味を持ちました。その後、実際に遠州織物に触れてみたり、書籍『HUIS.の服づくり』を読んだりしたことで、遠州織物の魅力にどんどん引き寄せられていきました。

とはいえ、みなさんもそうだと思いますが「いいな〜」と感じる商品やお店に出会ったとしても、運営側に参加したい、とまではそうそうならないでしょう。もちろん僕もそうだったので、あくまで「はじめて買うのは、どのシャツにしようかな」と、お客様としてHUIS.のことをみていました。その時点ではまだ1人の新規ファン。それ以上、何かをするつもりはありませんでした。

 

 

 

 

そこから気持ちに大きな変化が生まれたのが、2つ目のきっかけ。それは、昨年末にHUIS.の公式Xにてポストされたとある投稿です。内容を要約すると「担い手不足が理由で、コーデュロイの安定生産が難しくなった。それによって、関係する商品の今後の販売ができなくなってしまった」というもの。

この投稿を見たのは、渋谷ショールームで実際にHUIS.の洋服を見た数日後。生地が生産できなくなるかもしれないということ、そして地元の誇りがいずれなくなってしまう可能性が高いという事実。それぞれに対する驚きが、同時に襲ってきました。遠州織物に触れたばかりの僕ですらそんな気持ちになったということは、ずっと現場で遠州織物に触れ続けてきた方々が、そういった事実と向き合うときの気持ちは、計り知れないものだったでしょう。

 

 

そして、驚きの感情のすぐあとから追いかけてくるように、「焦り」に近い感情が生まれました。せっかく知ることができた、遠州織物という存在。これから、消費者として遠州織物の洋服を楽しみたいとも思っていたし、遠州出身の人間として自慢したいとも、勝手ながら思っていました。それが「このままではいつかなくなってしまう」と。そう宣告されたことでこれまた勝手ながら「こうしちゃいられない。何ができるかわからないけど、何かしないと」と思うようになりました。

自分に何ができるのかを考えたとき、「伝えること」だと思い当たりました。僕は、普段ライターとして活動しています。ライターの役割の1つは「拡声器」です。少しでも多くの人に対して、情報を文章という形で届けること。それが、ライターの僕が遠州織物に対して貢献できることだと判断しました。

 

 

とはいえ、僕は遠州織物を最近認知しただけの状態で、詳しい情報はほとんど把握していません。また、影響力のない僕個人の情報発信では、大きな効果は期待できません。それならばと、松下さんへ直接アプローチをすることにしました。

松下さんにお話を伺うことができれば、より詳しい実情を把握できる。そして、HUIS.や遠州織物にとって、僕が本当に役立てることが何なのかを、はっきりさせることができると思ったからです。その結果(これは前回の投稿でも触れましたが)、僕の役割は「遠州出身ながら遠州織物を知らなかった立場として、お客様と同じ目線で、遠州織物の魅力や価値を、率直に伝えていくこと」となりました。

僕は現在、パートナースタッフとしてこの配信を担当していますが、HUIS. の服作りや運営には一切関わっていません。限りなく、お客様に近い立場です。むしろ、何年も前からHUIS.の洋服を愛着している方のほうが、遠州織物について詳しいはずです。そのため、まだまだ専門的な事は詳しく理解できていませんし、今後も他のパートナースタッフさんほど、遠州織物のエキスパートになれることはないでしょう。

だからこそ、『HUIS JOURNAL』などとはまた違った目線。お客様と同じ目線から、遠州織物について感じたことや思ったことを、生の情報として届けることができると思います。

 

先ほど紹介したポストでは「担い手不足。本当に、水面下では深刻な状況がいくつも生まれています。」とも書かれていました。こういった後継者不足は遠州織物に限った話ではなく、農業の世界や中小企業など様々な分野で、長い歴史が途絶える危機に直面しているのが現状です。

これは社会全体の課題であり、一朝一夕に解決できるものではありません。だからこそ、まずは目の前のことから始めようと思います。情報発信を通して、1人でも多くの人に遠州織物を知ってもらうこと。そして、その中から「この素晴らしい織物文化を守りたい」「自分も生産に携わりたい」と思う人が現れることが、私の大きな目標です。

さらに願うのは、遠州織物での取り組みが、同じように後継者不足に悩む他の業界にとっても、小さな希望の光となること。「伝統は守れる」という事例を、この遠州織物から生み出せたら、と思っています。

そのために、遠州出身でありながら遠州織物を知らなかった私だからこそ伝えられることを、これからも発信し続けていこうと思います。同じ目線で感じたこと、学んだことを、HUIS.の情報発信担当の一端として、皆さんにお伝えしていきます。

 

– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
高品質な“遠州織物”を使用したシンプルな衣服。
ふくふくとした豊かな生地の風合いを大切に。
HUISweb | www.1-huis.com
HUISonlinestore | https://1-huis.stores.jp
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –

カテゴリー

オンラインショップ