繊維のまち、一宮。
一宮駅から新見本工場へ向かう道沿いには、染色工場や産元さんの事務所や繊維関係の工場だと一目でわかる特徴的なノコギリ屋根が多くあります。
大きなコンクリートづくりのノコギリ屋根から、民家に寄り添うように立つ木造のノコギリ屋根まで、あちらこちらで見かけることができます。

今では名古屋名物となっている喫茶店のモーニング文化ですが、一説には、打ち合わせのために織機の音が響く工場や事務所ではなく、喫茶店で打ち合わせをしていたのが由来になっているそうで、産業と文化のつながりを感じられます。

今回のイベント会場となった「新見本工場」さんは、そんな織機の音が今も鳴り響く工場内に店舗を構える、尾州産地直営の洋服店。
正面には田植えを終えたばかりの水田が広がる、130年続く老舗織物工場「木玉毛織」(@kitamakeori)さんの敷地内にあります。

初めて訪れると、入っていいのかな、この先にあるのかな…と少し心配になるかもしれません。
「織機が動いているところ、工場の中にお店を作りたかった」という尾州のカレント代表・彦坂さんや尾州の皆さんの想いが詰まった「新見本工場」は、これまでにない新しいコンセプトの洋服店。
一歩足を踏み入れると新たな”ファションの楽しみ”が無限に広がっていきます。

また、木玉毛織さんには、「新見本工場」以外にも繊維関係の事業者さんや店舗さんが入られています。
絶え間なく機械が動き続ける静謐な雰囲気の中、職人さん同士のやりとりや作業の一コマを垣間見ることができます。

2023年2月、産地交流ツアーという形でentranceメンバーを中心に遠州から尾州に訪問させていただき、工場見学やセミナーを開催しました。
その後も、遠鉄百貨店「サンチノ」や名古屋松坂屋「びしゅう百貨店」などでこれまでも出店・交流を重ねてきましたが、今回こうして金子敦子さんの新刊をきっかけに尾州のカレント活動の拠点となっている「新見本工場」にて、このようなイベントを開催することができ、本当に嬉しく思いました。

日本を代表する産地発ブランドが集まった今回のイベント。
ブランドや産地を超えて作り手とお客様が交わり、またお客様同士でも話が盛り上がり情報交換をしている様子もあちらこちらで見かけました。
服の作り手、そして産地を知ると、こんなにも楽しい世界が広がっている。
尾州のカレントの皆さんが大切にしてきた「”びしゅう”はたのしい」を、来場者、スタッフ、一人一人が実感されたのではないでしょうか。
この楽しさ、面白さ、奥深さをもっともっと伝えていけたらと思います。

イベント会場内外を飛び回り、本当にたくさんの方とお話をされていた金子さん。
生地が生まれる産地と服の作り手に焦点をあてこのような特別なイベントのきっかけとなる本を世に送り出してくださった、主婦と生活社の木村さん。
そして、会場準備や運営などを引き受けてくださった尾州のみなさま、本当にありがとうございました。

「金子祭」として盛り上がった今回のイベント、「次は、サンチノで！」という合言葉で2日間の日程を終えました。
７/17〜21に浜松・遠鉄百貨店で開催される「サンチノ」に産地発ブランドが集います。
ぜひお楽しみに！

また、当日のトークイベントの模様はアーカイブからご覧いただけます。
こちらもぜひご覧くださいね。

▪️「金子敦子さんによる出店者紹介」
@55akotan @kurashi_to_oshare

▪️「金子敦子さん×尾州のカレント×entranceトークショー」
@55akotan @kurashi_to_oshare @bishunocurrent @entrance.textile