いよいよ真夏のシーズンが到来し、HUISの麻シリーズもたくさんのラインナップが揃いました。
前回は、麻素材の3種「リネン」「ラミー」「ヘンプ」の違いについてご紹介させていただきました。まだご覧になっていない方は、昨日の投稿をぜひ見てみてくださいね。
さて今日は、四季のある日本で古来から着られてきた麻素材の特徴について、あらためてご紹介したいと思います。
前回ご紹介した「リネン」「ラミー」「ヘンプ」いずれも麻素材となりますが、これらの麻に共通した特徴をあらためて列記すると、
・吸湿性→体から出た汗を吸ってくれる
・速乾性→吸った汗がすぐ乾く
・放熱性→熱を体外に排出してくれる
・調温性→外気と体温との温度差を緩衝し調温をしてくれる
・接触冷感がある
・水を通すと強度が増すといわれ、洗濯を繰り返しても長持ちする。
・抗菌性を保つため汗をかいても安心
・麻ならではの上品な光沢感を持つ
こうした嬉しい機能を持っています。
暑い時期には特に吸湿速乾性や抗菌性、接触冷感などが嬉しい機能ですが、「夏は何も着ないよりも、麻を着た方が涼しい」と言われる麻素材の大きな特徴が「放熱性」です。
この「放熱性」について詳しく解説させていただきますね。
放熱性とは、身体から出た汗を吸い、乾く際に気化熱を生じることで、身体の熱を体外に放出してくれる。というのがその仕組みです。
理科の授業でもあったように、液体は気体へ状態変化する際にエネルギーを必要とします。エネルギーとは熱なので、液体はまわりにある熱を吸収して気化するわけです。つまり、身体から出た汗が周りの熱を奪って蒸散するため、その分身体の周りの温度を下げてくれ体温調整できるということです。
これは、麻の繊維が多くの空洞を持つことから起こることで、身体から出た汗がこの空洞に吸収され、体外への蒸散を促すことから起こります。
これが「吸湿性」「速乾性」で、さらにその結果として周囲の熱の吸収(気化熱)が起こり、「放熱性」に結びつくというわけです。
ですから、麻素材の洋服を一番外側に着ることで涼しく着ることができるのです。(秋冬は重ね着し外側をアウターで覆うことで身体から吸収された熱が空洞にとどまり熱を効率よく利用できることで暖かく着られます)
この気化熱を応用した日本人の知恵として、夏によく見る「打ち水」があります。
家の前などで熱くなった地面に水を撒き温度を下げる方法ですが、これは冷たい水を地面に撒いて温度を下げる、ということが目的ではありません。撒いた水が蒸発する際に地面の熱を奪うことで温度を下げてくれる、というわけです。
麻は、植物の茎から作られる天然繊維ですが、世界的な温暖化によって麻原料の生育が以前のようにできなくなっています。
例えばリネンの原料はフラックスと言われる植物ですが、HUISのリネンが作られているフランスのノルマンディー地域では上記のような気候変動も一因となってフラックス農家の減少が止まらず大きな社会課題となっています。
繊維業界で事業者・職人の後継者が見つからないように、原料となる一次産業の現場でも同様のことが国際的な課題となっています。
こうしたことが麻の原価が年々高まっている要因ですが、麻ならではの機能性は私たちにたくさんの恵みを与えてくれます。
旧式の織機でゆっくりと丁寧に織られた遠州の麻生地を、今後も使い続けられるようにできることに取り組んでいきたいと思います。
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高品質な“遠州織物”を使用したシンプルな衣服。
ふくふくとした豊かな生地の風合いを大切に。
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