日本国内に広がる繊維産地の生地を使った産地コラボレーションシリーズ。
今回のコラボレーションは、デニムの聖地と言われる「三備産地」のシャトルデニム生地を使ったデニムパンツシリーズで、中でも特に貴重な綿麻のシャトルデニムとなっています。
「児島デニム」という言葉をご存知の方も多くおられるかと思いますが、岡山県倉敷市児島地域を中心とした岡山〜広島にまたがる地区を三備地区と呼び、デニム・ジーンズの一大産地として世界的に有名な産地です。

三備産地は具体的には、備前(岡山・児島こじま)、備中(岡山・井原いばら)、備後(広島・福山ふくやま)の3つの地域を指しています。
特にそのうち児島地域は「国産ジーンズ発祥の地」として知られていて、日本製デニムの聖地と呼ばれることも多いことから、「児島デニム」という名称で親しまれてきました。
児島地域はもともと江戸時代に干拓によってできた土地で、塩分が抜けるまでは農作物の栽培に適さないため、塩分に強い綿花の栽培が活発に行われたことが国産ジーンズの始まりにつながったと言われています。
残念ながら現在この児島エリアで機屋さんはほとんど残っておらず、三備産地の生産地としては備中・井原市、備後・福山市がそのほとんどを担っていることから、このデニム産地を三備産地全体で捉えると、日本の誇るデニム産地というものがよりはっきりと見えてくると思います。
「児島デニム」と呼ばれているものも実際はこの2エリアで生産を担っていますが、長く親しまれ続けている「児島」というブランド名を上手に活かしながら、三備産地として一体的に産地を守り、高品質な日本製のデニム・ジーンズとして世界的に評価され続けているのです。

さて、ではなぜこの三備産地の日本製デニムがそれほど脚光を浴びる生地となっているのか?
その理由は、他国にはない「旧式のシャトル織機」で織られたデニム生地だからです。
「セルビッジデニム」や「耳付きデニム」といった言葉を聞かれたことがある方もおられるかもしれませんが、これらは児島デニムや三備産地のデニムを指す象徴的な言葉です。
セルビッジ(Selvedge)は英語で「織物の耳」を意味します。
シャトル織機で織った生地は、シャトルが往復してヨコ糸を運ぶことから、自然に生地の両端に糸がおさまります。
このおさまったきれいな状態を生地の「耳」と呼んでいて、近代織機と言われるレピア織機以降の織機で織られた生地に耳はできない(ヨコ糸を一方向に飛ばして都度糸を切ることから生地両端はバサバサの状態になる)ため、この「耳」があることがシャトル織機で織られた生地であることを証明する「印」なのです。
こうして見ると、旧式のシャトル織機で織られた遠州織物の特別さがあらためてわかりやすいのではないかと思います。
日本で生産されていた貴重なシャトル織機を大切に残し使い続け、シャツ生地のような細番手高密度のブロード・ローン生地を織ってきたのが「遠州産地」、デニム生地を織ってきたのが「三備産地」というわけです。
シャトル織機で織られた生地の特別さは、遠州織物を通して多くの方が実感していただけていることだと思います。
糸に負担をかけず、ゆっくりと時間をかけて織り上げることから、柔らかくしなやかな生地となり、生地表面に自然なシワ感が生まれます。
また高い耐久性を持つことから、デニムにおいては長く使い続けることで、自分の足の形になじんだ色落ちを楽しむことができ、使い込むほどにやわらかく味わいが生まれてくる。
これがまさに「育つデニム」と呼ばれている所以で、高価なヴィンテージデニム(=セルビッジデニム)が特別視され、ヴィンテージの世界で重宝される理由がここにあるのです。
なお、デニムというのは、「インディゴ染め」した太いタテ糸と白いヨコ糸を使い、綾織りで織られた生地のことです。
タテ糸をインディゴ染めにすることで、あえて色落ちするよう作られていることが特徴の生地になります。着用の際の色移りや、お洗濯の際の色落ちが生じるものになりますので、十分ご了承いただければと思います。
デニムの世界では、価値の証明としてよく知られてきた「シャトル織機」のことが、より多くの方に知られていくきっかけになるといいと思っています。
今回の産地コラボデニムシリーズは、こうした三備産地のシャトルデニムを天然素材の綿と麻を使って織った特別なデニムです。
麻混の独特な素材感もぜひ味わってみてくださいね。

(こちらのシャトルデニムシリーズは、HUISオンラインストア、POPUPイベント、渋谷ショールーム、大阪ショールームにて展示販売いたします。丸の内・立川・横浜・豊橋・名古屋ショールームでの取り扱い予定はありません。ご了承ください。)









