振り返ると本当にいろいろなことがあった2025年ですが、まもなく大晦日を迎えます。
遠州発の産地発アパレルとしてHUISは11年を迎えましたが、活動を通して少しずつ遠州織物を知っていただけるようになってきました。
HUISを始めた頃、売り場に立ち寄っていただけるお客さまとお話をしていても、「遠州織物」という言葉を聞いたことがあるという人はほとんどいませんでした。
今はどの売り場にいってもHUISのこと、遠州織物のことを知ってくださる方にあふれています。
それはひとえに産地に共感し、応援してくださるお客さまみなさまのおかげです。
今年も一年、本当にありがとうございました。
さて、来年に向けてですが先日のインスタライブでもご案内させていただいておりましたように心苦しい中ですがHUIS製品の値上げをさせていただく予定です。
今日はそのことについて詳しくご説明ができればと思い、投稿させていただきました。
繊維産業において、円安や原料費の高騰などの影響により目に見えないところで産地はとても苦しい状況が続いてきました。そして、今も日を追うごとに状況は深刻化しています。
これまで、事業者さん・職人さんたちはそれらを自身の利益を圧縮し最低限の値上げで済ませてきました。
それでも、何年も積み重なると大きな金額になってきます。
具体的には、
・へ通し
・糊付け
・機織り
・染色
・整理加工
・縫製
といった各工程のすべてのコストが、数年前と比べて大きく値上がりしています。
HUISは従来より商品価格に“ブランド料”を含めていません。
中間を介さず産地で直接生地を仕入れること、オンラインストアを販路の中心にすること、消化率100%の経営を続けることなど様々な工夫を複合的にすることで、最高品質の遠州織物を使いながらもできる限り価格を下げた展開をしています。
それだけに、こうした各工程における原料費の値上げは商品価格にダイレクトに反映されることになります。

ですが、事業者さんたちがこうしてきちんと値上げしてくれることを私たちは望ましいことだと思っています。
今、産地では事業者の廃業が進んでいます。
遠州産地だけではなく、国内産地で多くの事業者が事業を閉じています。
繊維・アパレルの専門誌ではこうした状況が日々報じられています。これまでもたくさん廃業してきましたし、今も廃業目前の事業者さんがたくさんあります。
松重見聞録で松重豊さんが訪れてくれた磐田産業さんやカネタカ石田さん、また別珍のカッチングを続けられている阿部さんなどの状況も氷山の一角です。

その廃業する理由の中でも多くを占めるのが「工賃の値上げができない」ことにあります。
採算が合わない事業経営を続けられなくなるのは当たり前のことです。ただ、値上げをしようとすれば、今あるアパレルからの発注が海外の生地に置き換えられてしまう可能性が高い。そうしたプレッシャーの中でどの産地の事業者さんたちも耐えてきました。耐えに耐えた結果、事業を閉ざさざるをえなくなっているのです。

産地で繊維業に関わる事業者さんたちの多くは、いわゆる“稼いでいる”という状況にはありません。
遠州産地の事業者は特に、分業制の中で小規模な事業者が多いため家族経営が多く、家族が暮らせる程度の収入であることがほとんどです。
世界的にも稀有な技術があり、他にはない特別な品質のものづくりをしている事業者さんたちなのに。私たちは客観的に見ていて、この状態をすごく歯痒く感じます。
そんなギリギリの経営をしている事業者さんが、技術を継承してくれる新たな担い手を雇おうにも、職人さんを雇うような余裕があるはずがありません。
そしてこうした事業の状況を見ているお子さんやお孫さんが、家業を継がない選択をするのも自然なことだと思います。

世界的に稀有な素晴らしい技術が、世間に知られないまま次々と消えて無くなってしまう。
産地が残るためには、日本の貴重な技術が残るためには、事業者さんたちの工賃が上がる必要があります。
技術に見合った対価をもらい、きちんと稼げること。そしてそうした技術を受け継ぎたいと望む新たな担い手を前向きに雇い入れ、十分な給料を払えるような経営に引き上げること。
外から見るよりも、事業者さんたち・職人さんたちにとって値上げというのはとてもしづらいことです。何も声を発さずに我慢して、自分の代で静かに終えることのほうが楽です。
でも、そのことに正面から向き合って、個々が持続的な経営を目指して取り組まなければ、歴史ある産地も、素晴らしい日本の技術も、遠くない未来に消滅してしまいます。
だから私たちは、本来は原料費分だけでなく事業者さんたちの工賃が今よりももっと上がる必要があると思っています。

今年「グッドデザインしずおか」で最高賞となる大賞(県知事賞)を受賞させていただいた久留女木の棚田プロジェクトは、普段目に見えないたくさんの事業者さんたちの連なる仕事を伝えることが、大きな目的の一つでした。
目に見えない事業者さんたちすべてに、持続的な経営が訪れること。HUISが続けられるためには、1番大切なことだと思っています。

来年も、産地を照らす光が一層大きくなることを願って。
今年も一年、本当にありがとうございました。

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高品質な“遠州織物”を使用したシンプルな衣服。
ふくふくとした豊かな生地の風合いを大切に。
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