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お伝えしたいこと 2022-01-19

天然素材と、アパレルにおけるSDGsについて

昨年末の投稿では、アパレル生産現場の現状、さまざまな要因によってものづくりの維持が難しくなっている背景をお伝えさせていただきました。

HUISでは、遠州織物という産地の生地を使用し、昔ながらのシャトル織機で生産していることが特徴ですが、もう一つ、生地にコットンやウールなど天然素材を使っている、ということも大きな特徴です。
天然素材だからこそ生まれる風合い、着心地、機能性があり、HUISがこだわりを持っている部分でもありますが、実は天然素材はいずれも特に年々、原料が手に入りづらくなっています。

ファストファッションと言われる大手ブランドさんの製品をみても、ポリエステルやポリエステル混製品の割合が近年多くなってきたと感じている方も多いのではないでしょうか?
実際、HUISをスタートした頃にはシルクを使ったシーズンもありましたが、今はシルク糸の価格高騰から生産が難しい生地になってしまいました。フォロワーの皆さまの中にはご存知の方も多いかと思いますが、近年はウールについても生産が難しくなってしまっています。

今日は、そんな天然素材の話題をもとに少しお伝えできればと思います。

2021年は「SDGs」という言葉の露出が一気に増えた年ではなかったかと思います。
特にテレビや新聞など報道メディアでは積極的に「SDGs」というワードが使われ、見慣れない言葉ながらも少しずつですが身近に感じるようになってきました。

SDGs=「Sustainable Development Goals」は、“持続可能な開発目標”の略称ですが、この「持続可能性」について、アパレルは特に早く取り組まれていた業界だと思います。
アパレル業界を牽引する世界的なハイブランドが毎シーズン発表するコレクションにおいて、ショーのコンセプトに持続可能性が考慮されているか否かは各ブランドの評価を大きく左右するもので、いずれのブランドも素材選定には生産背景も強く意識されてきました。近年では「サスティナブルファッション」という言葉もキーワードになっています。

こうして早い時期から意識的な取組がなされてきたのは、アパレルにおける大量生産・大量廃棄が大きな社会問題とされてきた背景もあると思います。

日本国内においても、現在アパレル業界において年間で廃棄される衣類の量は100万トンに及ぶとされています。商品点数に換算すると、国内で年間消費されている衣服はおよそ13億点なのに対し、供給されている衣服は27億点近く。つまり、売れ残る余剰在庫が14億点にのぼると言われています。人口約1億人と考えれば、一人当たり14着分の衣服が新品のまま毎年廃棄されている計算です。
安く・大量に生産することが急速に進んできたアパレル業界では、貴重な原料を使用して、こうしたサイクルが続いてきました。

特に天然素材は、いずれも時間をかけて育てられた原料が元になります。
HUISが主に使っているコットンも、原料は農産物です。農家さんが種をまき、手間をかけて育てた綿花から採取できる原料。ウールも畜産農家さんが羊を育て、その毛を刈ることで得られる原料です。
必要な量を採取し、また育てることで持続可能(サスティナブル)な原料ですが、“人の手”と“時間”が必要な資源です。

現在、世界で生産されるアパレル製品の割合は、ポリエステル50%、コットン30%、ウールは1%と言われています。コットンやウール製品の割合はここまで減少しています。そして今後、天然素材の占める割合はもっともっと少なくなっていくでしょう。

もうひとつ、HUISの生地を生産している旧式の「シャトル織機」は、複雑な近代織機と比べて単純な機構のため、必要な部品さえ手に入れば使い続けることができる。手入れをすることで使い続けることができるサスティナブルな機械とも言えます。
そのかわり必要なのは「技術」、人の手が必要な機械です。生まれる生地は、生き物のような生地。近代のコンピューター制御による生地と比べて必ずしも均一ではありませんが、それを補ってあまりある味わいのある生地です。

天然素材にこだわること、シャトル織機にこだわることは、難しい道だと思います。価格の値上げも避けられない現実があります。でも、今の時代の中で、必要な道だと私たちは思っています。

「SDGs」という言葉は、少し難しく感じてしまいます。
でも、まずは自分たちの着るものにどんな素材が使われているのか、どんな人の手が関わって作られているのか、をイメージしていただくだけで十分だと思います。
きちんとものづくりの背景の見えるものには、愛着をもつことができます。作り手に対して敬意を持つこと、そうしたものを身につけることに誇りを持つこともできます。できるだけそういうものを選択することが、きっと持続可能な世界につながっていきます。

HUISの生地を織ってくれている機屋さんでは、幸い若い職人さんも育ってきています。
日本国内には、まだまだ歴史ある繊維産地があります。それが、日本の強みだと思います。

産業を守る、というほど大きな仕事ではありませんが、自分たちの関わらせてもらっている素晴らしい技術、価値あるものが、これから先もあり続けてくれるように、私たちも頑張っていきたいと考えています。

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高品質な“遠州織物”を使用したシンプルな衣服。
ふくふくとした豊かな生地の風合いを大切に。
HUISweb | www.1-huis.com
HUISonlinestore | https://1-huis.stores.jp
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