浜松出身のライター・宮崎駿(みやざきしゅん)さんが綴る『知らずにいた故郷の誇り、遠州織物の今と未来』、第17回「サイズで諦めない、誰にとっても馴染む服」です。
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HUISの洋服には、ユニセックスかつワンサイズで作られているものが数多くあります。サイズ展開をしない、という選択。今回は、その背景にあるものについて考えました。
洋服を選ぶ上で見て見ぬ振りはできない問題。サイズのことです。サイズが理由で着ることを躊躇してしまう、諦めてしまう。そういった経験はありませんか?
ほとんどの洋服にはサイズ分類があり、それもS〜Lの3段階ではなく、そこにXS・XLが追加されて5段階を超えることも少なくありません。選択肢が多いほうが、自分に合ったものが見つかりそうに思えます。
ただ、そう言い切れるほど単純なことではありません。明確な分類があるということは、その分類の中に当てはまるものがないと、対象者から外れてしまう。分類に当てはまったとしても、洋服のサイズは全ての要素を微調整できるわけではありません。「強いていうならMだけど、ちょっときつい。でもLにすると袖が長くて邪魔になるな」となってしまうこともあるでしょう。
例えば、私は身長が180センチあり、着れる洋服の選択肢は多い方だと思います。それでも、着丈や袖丈、肩周りやウエストなど、全ての要素がしっくりくる洋服には、なかなか出会えません。
顕著なのが、妻です。妻は148センチと、平均より小柄です。そのため、サイズで洋服を諦める姿を何度も見てきました。
特にサイズ展開がフリーサイズのみのものは、着れないことが大半でした。妻は、服飾系の大学に通っていたこともあり、自分で着れる状態に調整することもあります。でも、自宅での調整ができない洋服もあります。また、わざわざそこまでするほどじゃない、と買わずに諦めることも。
サイズだけではありません。先日、妻が「いい感じのスニーカーを見つけたけど、メンズしかなくて、サイズも24センチからだった」と諦めていました。デザインが気に入っても、メンズ・レディースという分類で手が届かないこともあります。
私たち夫婦は少し極端な例かもしれませんが、洋服のサイズやレディース・メンズの分類があることによって、着たい洋服を諦めた経験がない人はいないんじゃないでしょうか。

体型は人によって違う。それを変えることはできません。でも、人によって、着たい洋服を着るためのハードルの高さや数に違いがある。その問題を変えることはできるのではないでしょうか。
HUISのユニセックスでワンサイズという考え方は、その制限を極力取り払う力があります。
ただ、HUISも最初からワンサイズだったわけではありません。もともとは、シャツ・ジャケット・パンツなど、複数の製品でサイズ展開をしていましたが、売場でお客様と対話を重ねるうちに、ゆったりとした着方を好む方や、メンズサイズの洋服を自然に着こなす女性のお客様の姿を見てきました。その経験の積み重ねが、「ユニセックスでワンサイズ」という考え方につながっているとのこと。
最初、ワンサイズという話を伺った時、フリーサイズとは何が違うんだろうかと思いました。どちらも、一つのサイズで多くの人に届けたいという考え方です。その点に違いはありません。
違いは、生地にあります。
生地にはそれぞれ特性があります。張り感のある生地は、シルエットをしっかり保つことができる。一方で、体型によっては生地が沿いにくく、サイズの合う・合わないが出やすくなります。
HUISが使う遠州織物は、シャトル織機でゆっくりと織られています。糸に遊びのある状態で柔らかく織り込まれていくため、生地そのものにしなやかさが生まれます。このしなやかさが、ストンときれいな落ち感を生み出す。落ち感のある生地は、体の線を拾いすぎず、着る人の体に沿って自然と馴染んでいきます。
遠州織物のこの特性があるからこそ、HUISのワンサイズは成立しています。体型も、性別も、年代も関係なく、着る人に合わせて生地が馴染む。ワンサイズでありながら、その人の一着になる。

サイズが合うだろうか。自分が選べるものはあるだろうか。洋服を手に取る前に、立ち止まってしまう。HUISのユニセックスでワンサイズという洋服は、その迷いから解放してくれます。サイズや性別を気にすることなく、着たいと思った人が、ただ手に取ることができる。そして、手に取った誰の体にも、自然と馴染んでいく。ゆっくりと織られた遠州織物だから、実現できたことだと思います。










