期間限定ショップ「HUIS room 104」やLOOKBOOKの撮影、また「HUISと生地展」などいろいろな形でお部屋をお借りしている浜松市鴨江アートセンターの広報誌に、代表松下の寄稿文を掲載いただきました。
@kamoeartcenter_hamamatsu
1928年に浜松警察署庁舎として建てられた浜松市鴨江アートセンターは、第二次世界大戦の浜松空襲、東南海地震をくぐり抜けた歴史ある建築物ですが、市民による保存活動を経て現在は市民の文化芸術活動の拠点となっています。
浜松市と繊維産地を見守ってきた「浜松市鴨江アートセンター」は、地域と人々の歴史を刻みながら、訪れる人々に不思議な安らぎとくつろぎ、懐かしさを感じさせてくれる、とても温かみのある空間です。
ショップやマルシェをきっかけに、このようなご縁をいただきとても嬉しく思っています。
日頃から、さまざまなイベント、ワークショップ、朝市なども開催されています。
浜松駅からも徒歩で15分くらいで訪れることができますので、浜松を訪れた際には、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。

■時を超える、作り手の思い HUISが紡ぐ「服づくり」
SUZUKI、YAMAHA、HONDA。いずれも遠州から生まれた世界的メーカーで、その背景には気候や地理的条件により綿花栽培が盛んだったことが深く関係しています。遠州生まれの豊田佐吉(トヨタ創業者)が日本で初めて動力織機を発明したことを契機に、この遠州の地で繊維産業が基幹産業として発達していきました。これらの技術が応用され自動車・バイク・楽器といった世界的な発明につながっていきます。
現在も多様な生地が作られている遠州織物ですが、中でもアパレル向けの広幅生地は世界的な“高級シャツ生地”として業界では広く知られ、現在、数多くのメゾンブランドが遠州織物を使用しています。私たちは「産地発アパレル」として、職人さんたちとともに産地の中で洋服づくりを行いながら、一般には知られることのない「繊維産地」や「服づくり」の背景を伝える活動にも力を入れています。HUISの生地を織っている遠州生まれの「シャトル織機」は、今ではもう製造されていません。現代の織機に比べると驚くほど低速度でしか織ることができない、極めて非効率的な機械です。しかし、柔らかな高級糸をゆっくりと時間をかけて織り上げることで、表面に凹凸感のあるふっくらとして温かみのある風合いが生まれます。前述のような歴史的背景があるからこそ遠州で今も残り使い続けられている貴重な織機なのです。
「早く、安く、大量に」という時代の変化に真正面から争うことはできません。だからこそ、織機と職人とが一体となり、技術を尽くし、製法と素材にこだわり抜くことで生き残ってきた稀有な産地です。遠州織物は、素朴で控えめ。派手さやパッと身の豪華さはありませんが、一度手を通すとその肌触りのよさに誰もが虜になります。
初めての書籍「HUIS.の服づくり」での撮影をきっかけに、イベントやルックブック撮影などを「鴨江アートセンター」さんで行なっています。建物に足を踏み入れると、どこか懐かしく温かな空気に包まれ、訪れるたびに不思議と心が安らぎます。撮影では館内のどこを切り取っても主張しすぎず、美しい背景として、写真全体に優しさや温かみをもたらします。漆喰や石など自然素材によって細部のさりげない意匠にまでこだわり、街を守る「警察署」として職人たちが丹精込めて築いてきたからなのでしょう。
使い手のことを考え、手作業により丁寧に作られ守られてきた「遠州織物」と「鴨江アートセンター」。どちらもさまざまな困難を乗り越え先人が遺してくれた、この地の大切な財産だと思います。
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高品質な“遠州織物”を使用したシンプルな衣服。
ふくふくとした豊かな生地の風合いを大切に。
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