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お伝えしたいこと 2023-04-13

“オーガニックコットン(H02)の特別さについて”

いよいよ2023年も4月に入り、本格的な春シーズンを迎えました。
あたたかな日が続くようになると、気持ちも軽やかになりますね。

今日はHUISの中でも、一年を通してもっとも定番となっている生地「オーガニックコットン(生地品番:H02)」について、その特別さをご紹介させていただきます。

環境に配慮されたオーガニックコットン糸を用い、低速のシャトル織機で超高密度に織られているこちらの生地は、糸番手がタテ糸・ヨコ糸ともに60番手となっています。

オールシーズン使いやすい、軽やかでしなやかな肌触りが特徴ですが、単に超高密度であるだけでなく、至高の技術を持った機屋さんでなければ体現することができない特別な組成をしています。

遠州の機織り技術を垣間見ることができるこちらの生地について、詳しく解説させていただきますね。

まず、低速のシャトル織機で織ったHUISの生地は、いずれも表面に凹凸感のある立体的な風合いや、軽くしなやかな着心地が共通した特徴です。

そして、細番手の糸を限界に近い超高密度で織ることができる、という強みが、他にはないシャトル織機を扱う遠州の技術ならです。

限界に近い高密度の規格で織る場合、力任せにヨコ糸を生地に打ち込み続けることになるため、糸への負担は増大し、糸が切れてしまいます。細い糸なら、なおさらです。これが細番手&高密度の織物は難しいと言われる理由です。

シャトル織機は、熟練した職人が、生き物のような織機の具合を常に見ながら、完璧な調整をし続けなければなりませんが、糸に負担をかけず、ゆっくりと織ることができるため、こうした規格の生地を織ることができるのです。

仮に、細い糸を一般的な密度で織ると、生地は透けてしまいますが、オーガニックコットン(H02)については全く透け感の心配がありません。贅沢に糸を使い、長い時間をかけて超高密度に織ることから、圧倒的な軽さがありながらこうした安心感のある特別な生地ができるわけです。

そしてさらに、シャトル織機で織った生地は、「織り生地」なのにわずかなストレッチ性をもつことが、着たときの快適性が生まれるもう一つの理由と言われます。(生地を強く引っ張ってしまうと破れにつながる可能性がありますのでご注意ください。)

もともと伸縮性をもつ「編み生地」と異なり、「織り生地」にストレッチ性をもたせるためには、通常ポリウレタンなどを混ぜる必要がありますが、コットン100%にも関わらずこうしたわずかなストレッチ性を持つ理由は、生地の組成という部分に注目すると、少しイメージしやすくなると思います。

詳しく解説させていただきますね。

ご存知の通り「織り生地」は、タテ糸の間にヨコ糸を走らせて織っていきますが、タテ糸にもヨコ糸にもテンションをかけずにゆっくりとシャトル織機で織った生地は、糸が波状にくねくねと大きく織り曲がった形で織られていきます。(対して、近代の高速型織機で織った生地はタテ糸・ヨコ糸が直線形状に近く織られていきます)


このことによって、織った直後から生地に「織り縮み」という現象が起こりやすく、もともとわずかに収縮したような生地が生まれるのです。こうした特性が、風合いや着心地に繋がっていると言われます。

そしてさらに、こちらのオーガニックコットン(H02)は、特にそうした特性を多く有する生地になっています。

それは、タテ糸とヨコ糸の密度の割合が完全に1:1(=スクエア)になっている、という特別な組成が理由です。


通常、高密度の生地を織ろうとした時、タテ糸の密度が高くなることが普通で、完全に1:1のスクエア組成で織るのはより難易度が高く、それをさらにシャトル織機を使って織るのは至難の業だそうです。ですが、この完全な1:1のスクエア組成で織った場合、織り縮みの現象が最も大きく起こります。

織り縮みが起こるほど、織機をコントロールするのはさらに難しくなります。でもそれをきちんと織り上げることで、美しく、快適な着心地をもった極上の生地につながるのです。

遠州の機織りの職人さんたちは、こうした一般的に伝えることが難しい、非常に伝わりにくい部分まで、日々試行錯誤して生地の規格をしています。

織ることが困難だと分かっている生地。でも、難しいからこそ、自分たちの技術でしか織れない生地。そこに生き残る道を見出し、特別な生地を今までも生み出してきました。
その挑戦こそが、遠州織物の本質だと私たちは思っています。

この産地が残っていれば、その挑戦は続いていくはずです。
これから先も変わらず、この素晴らしい生地を味わうことができるよう、私たちは少しでも伝える役目を果たしていければと思っています。

 

※HUISアプリでは、お好みの生地を選んで商品を表示することができます。ぜひご利用くださいね。(アプリ検索画面で「HUIS」と検索、またはHUISウェブサイトページ下部のリンクをクリック)

@kanetaorimono

 

 

 

 

 

 

 

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