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お伝えしたいこと 2023-04-22

【HUISのくつした.】まもなくリリースです

【HUISのくつした】のリリースも迫ってきて、今回は工場取材のyoutube動画も用意しています。リリースまでの期間、順番に公開となりますので、ぜひこちらも楽しみにご覧くださいね。

さて、今回はこの特別な靴下ができあがるまでの経緯について紹介させていただきたいと思います。

4月28日(金)にいよいよリリースとなる【HUISのくつした】ですが、もともとHUISで靴下を作りたいという構想は何年も前からありました。
HUISとして靴下を作るのであれば、遠州織物でつくる最高品質のシャツのような靴下。HUISに寄せてくれる信頼に応えられる、特別な靴下を作りたいというおもいをずっと持っていました。

いい生地とそうでない生地の違いは、①糸の品質と、②糸を生地にする機械の種類、で主に決まります。シャツ生地の世界においては、それがまさに細番手の高級糸を使い、旧式の「シャトル織機」で織られた生地。長い時間と途方もない手間をかけて生まれる生地は、他に代えられない心地よさ、機能性を持った生地になります。

そうしたことをもとに、国内の靴下生産についていろいろと調べていくようになりますが、生産背景を知るほどに、いい靴下とそうでない靴下、というものがはっきりとある世界だとわかるようになります。そして、国産編機「ダブルシリンダー」のことを知るまでに、それほど時間はかかりませんでした。

現代において靴下生産の主流の編機というのは、「K式シングルシリンダー」になります。シングルシリンダーは複雑な柄ができ、コンピューター制御で効率よく生産することができます。
一方、職人さんによる多くの手作業を必要とする旧式の「ダブルシリンダー」で編む靴下は、「シャトル織機」で織るシャツ生地と同様、とても非効率です。ですが、その非効率性と引き換えに、特別な履き心地や日用耐久性など多くの機能性を持ちます。
上釜と下釜の2つがあるのがダブルシリンダー。上針と、下針で編んでいくため自然なリブ編みとなって、生地自体が伸縮性に富んでいる、というところが、はき心地の良さや長く使えることの大きな要因です。

ダブルシリンダーで編んだ靴下が格別にいい!ということは、産地の方や、靴下生産に関わる人、は実際誰もが知っていることで、やはりそこもシャトル織機と共通する部分なのですが、一般のお客さまにはほとんど知られていません。
ネットで「靴下 ダブルシリンダー」と検索してみても、分かりやすい情報はまず出てくることがなくて、こうした情報が表に出づらいところは遠州織物と同様、じつに繊維業界らしい特徴だと感じます。

こうした中、HUISで靴下を作るのであればダブルシリンダーの選択肢しかない、ということはかなり前からはっきりとしていました。
ただ、ダブルシリンダーは本当に手間がかかる編機です。そのため、ダブルシリンダーで編むことができるのは糸が太く、少ない本数で編む、地厚な靴下がほとんどだと知るようになります。
スキーの靴下や、秋冬用の雪柄の靴下、などをイメージしてもらうと分かりやすいと思うのですが、こうしたものはほとんどがダブルシリンダーで編まれています。ですから、こうした靴下の多くは耐久性が高く、履き心地の良い靴下です。

一方、HUISが作りたいと考えていたのは、そうした地厚な靴下ではなく、軽やかなシャツに合わせられるすっきりとした薄さの靴下でした。一年中履くことのできる適度な厚みの靴下が作りたかったのです。そして、そうした靴下を編めるダブルシリンダーはほとんどない、ということを知ります。

「細い糸で、糸の本数の多い規格」の靴下をダブルシリンダーで編もうとすると、ただでさえ大変な調整の手間がさらに一気に増えてしまうため、現実的には難しい。だから、実際には、経営に耐えられる規格を編むダブルシリンダーだけが残ってきた、というのが実情なのです。
また、柄やデザインのある靴下を、ダブルシリンダーの多くは編むことができません。こうした柄を表現できるのが、現代の主流となっているK式シングルシリンダーの大きな強みなのです。

HUISは、自分たちのものづくりを通して、繊維産地を知ってもらうことがひとつの役割だと思っています。靴下の産地といえば、やはり「奈良」。できれば奈良でパートナーとなる工場を見つけたいと、仕事で関わる方々を通じて、長い期間産地の靴下工場を探してきました。
ですが、一年を通して履きやすい薄さでかつ、足元を華やかに彩ってくれる靴下を編めるダブルシリンダーを見つけ出すことはできませんでした。

こうして、諦めかけた中で最後に出会うことができたのが、岐阜県関市の老舗靴下工場でした。岐阜県関市は刃物で有名な、ものづくりの街。清流・長良川が流れる自然豊かな地域です。
この工場が残してきた1970年代の「巻取り式ダブルシリンダー」は、176本のミドルゲージでかつ、柄を表現できるジャガード編みができる、希少な編機でした。
編み立てる靴下の細部にまで気を払い、複雑な調整とメンテナンスを重ねて、決して途絶えさせてはならないと大切に使い続けてきた特別なダブルシリンダー。

生産効率が悪く、その価値が一般的に知られることのないこの旧式のダブルシリンダーを使い続けるのは、大きな経営リスクを伴う困難な道です。高速で複雑な柄が編める、最新式の編機だけを使うことのほうがよほど楽です。

ですが、この古い「巻取り式ダブルシリンダー」を使い続けるべきだと考える理由があるから、東洋繊維さんは大切に残し、そして扱える職人さんたちを育ててきました。

日本で靴下編機が作られていたかつての時代の、この旧式の編機がどんな利点を持つのか。
文章だけではお伝えしきれないと思い、今回はyoutubeチャンネルのトーク形式で詳しく解説する、という形をとることにしました。

時代に逆行し、守り続けてきた東洋繊維さんの力強い意志を、私たちは【HUISのくつした】を通して伝えていけることが、楽しみで仕方ありません。

次回の【HUISのくつした】youtube解説動画は、明日4/23(日)10:00より、工場での取材トークの回をお送りいたいます。

靴下づくりの裏側が分かるようになると、ファッションはもっともっと楽しくなるはずです。ぜひ楽しみにご覧くださいね。

■HUIS youtubeチャンネル「HUISのくつした」解説シリーズ

①スタジオトーク

②陽治さんとのコラボトーク
4/23配信予定

③工場でのダブルシリンダー生産工程取材
4/27配信予定

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高品質な“遠州織物”を使用したシンプルな衣服。
ふくふくとした豊かな生地の風合いを大切に。
HUISweb | www.1-huis.com
HUISonlinestore | http://1-huis.stores.jp
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