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お伝えしたいこと遠州織物のこと 2024-04-02

“現代におけるきなりのリネンの希少性と、HUISの白リネン”

昨日、麻原料の高騰についてご紹介させていただきましたが、HUISのシャトルリネンに使用しているのは、一般的なリネン素材とは一線を画す、最高級のリネン原料です。

そのため、原料高騰の影響はさらに大きく苦しい状況に今ありますが、今回はその品質の違いをわかりやすくご紹介できればと思います。

HUISのシャトルリネンを織ってくれている遠州の機屋さんでは、「きなり」色のリネン生地、つまり染色を施すことなく原料そのものの色のリネン生地をもともと扱っていたことから、当初は私たちもきなり色のリネンに特別さを感じていませんでした。

ですがその後、繊維関係者の方々から「リネンのきなり生地は現代では希少だ」という話をよく聞くようになり、「きなり色のリネン」の特別さを理解するようになります。

HUISのシャトルリネンはフランス産の高級リネン原料(フラックス)を使用しているので、原料自体がとても良質で、「きなり」の状態でもきれいなリネン生地として使うことができます。

一方、現在流通しているリネンは、こうしたきれいな色を持たない品質のものが大半であるため、原料そのままのきなり色で使うことができず、「繊維の状態で真っ白に晒す」ことが一般的だそうです。
リネン原料をリネン糸にする段階で、白く晒す、ということです。

また、粗悪なリネンは繊維長が短く、ボソボソとした繊維になってしまうため、そのままではうまく糸にすることができません。糸の品質(やわらかさや丈夫さ)は、原料となる繊維長が長いか短いか、に左右されます。

ある意味、現代の技術における工夫とも言えると思いますが、こうしたそのままでは糸にできないような品質の原料を糸にするため、目に見えない部分でさまざまな化学的な加工を施すそうです。こうした加工とともに白く晒した「白いリネン糸」がつくられるわけです。

ヨーロッパの繊維関係者は、こうした白いリネンを、皮肉を込めて「ケミカル」と呼ぶそうです。
生地品質に徹底的にこだわるメゾンブランドならではの皮肉、ではありますが、残念ながらアパレル業界において現在世界的に流通しているリネン生地のほとんどは、こうした元々白い糸のリネン素材なのです。

こうした話からも、HUISの扱っている「きなり色」のシャトルリネンの特別さを感じていただけると思います。

そしてその上で、もう一つ、今期のHUISの「白いリネン生地」について解説させていただきます。
今期のHUIS春夏商品には、白リネンも出てきています。


これは「ケミカル」と言われる白いリネン糸で作られた生地ではなく、従来通り、きなりのリネン糸を仕入れ、きなりのリネン生地を織り上げた後に、白く晒したものです。
ややこしい話になってしまうのですが、きなりのリネン生地を白色に晒す、というのはとても技術の要することで、一般的には難しいとされています。

このきなりのリネン生地をきれいに白く晒す技術を唯一持っているのが、HUISのリネン生地を扱ってくれている滋賀の染色加工会社・大長さんです。

麻素材の産地といえば、滋賀県。残念ながら現在では、滋賀に機屋さんはほとんど残っておらず、麻素材の多くが遠州で織られたものになっていますが、こうした染色・整理加工については国内随一の技術が残っています。

シャトル織機を扱う遠州の機屋さんと、麻の産地・近江との連携で生まれる、最高品質の「きなり色のシャトルリネン」「白色のシャトルリネン」。

いずれも世界的に希少な生地です。

原料の高騰がつづく中で、いつまで扱うことができるかわかりませんが、その価値を変わらず伝えていきたいと思っています。

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高品質な“遠州織物”を使用したシンプルな衣服。
ふくふくとした豊かな生地の風合いを大切に。
HUISweb | www.1-huis.com
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