「日本製」の服が良いと言われる理由は?|織布・縫製技術と職人の想いを紐解く
日本製の服の価値は、単なる素材やデザインだけではありません。一着一着の裏側には、長年受け継がれた日本の職人たちの縫製技術が確かに息づいています。日本製の服が身につけるたび豊かな印象になるのは、こうした技術が生地や形状だけでなく、着心地そのものへと結びついているためです。
こちらでは、日本の縫製工場ならではの縫製技術、その背景にある職人のこだわりから、豊かな着心地の秘密を紹介します。
日本の縫製品質の高さを支える職人技

日本製の服が長きにわたり評価され続けている背景には、日本における職人技の蓄積があります。単なる縫製技術ではなく、素材への理解、工程へのこだわり、そして着用時の姿を考え抜く姿勢が、日本製の服の価値です。
日本の職人技術の特徴と受け継がれる伝統
日本の縫製技術の大きな特徴は、糸一本の張りや運針の正確性だけでなく、素材の個性に応じて細やかに調整できる技術力にあります。長年の経験から生まれる指先の細かな感覚と、美しく仕上げるための緻密な準備工程、着用時をイメージした美しい縫い目、手仕事と機械が一体となった緻密な工程、確立された工程管理が相まって、着用時の美しいシルエットが生まれます。この技術は、国内の産地や職人たちの間で世代を超えて受け継がれており、日本ならではの縫製文化となっています。
HUISの縫製を手掛けていただいている工場は、特にシャツの縫製を得意としている工場です。シャツの縫製は襟やカフスなど立体的で小さな縫い合わせも多く、細かな手作業とバランスが求められるため、数ある洋服の種類の中でも、高い技術が求められます。
縫製はとにかく工程も多く、かつ細かく、繊細な手作業の積み重ねです。アジアをはじめとする海外の工場では最新の機械が導入されており、さまざまな工程が機械で自動化され、以前ほど人手を必要としない工場がどんどん増えています。一方、HUISの製品を縫製してくれている工場は昔ながらの機械を使っているためどうしても人の手による作業が多くなります。
両者の違いはどのように現れるのでしょうか?
縫製に携わる方々がよく口にするのは、「仕上がりが柔らかく、ソフトになる」ということ。昔ながらのこうした国内縫製工場では生地の特徴や風合い、湿度や天候にも影響される糸の調子を感じながら、手先の感覚で生地を縫っていきます。表には決して現れない、職人技が随所に散りばめられています。
現代の縫製技術と職人の役割
服づくりの現場においては、高品質な洋服になればなるほど、人の手間と時間がしっかりとかけられています。一元管理されたマニュアル的な作業ではなく、温度・湿度といったその日の環境や素材の状態、またロット違いよる微細な違いを人の感覚で補い、デザインを判断し、扱う設備と職人の長年の経験の両輪で日本の縫製品質を支えています。
大量生産品では表現できない、立体的で着心地のよい服となる理由がここにあります。
高品質の裏側にある職人技の価値
一枚の布から洋服を仕立てる「縫製」という工程を説明してきました。
縫製と聞くと、裁断したパーツをミシンで縫い合わせる作業をイメージされると思いますが、ミシン縫いは縫製工場における作業のごく一部です。
まず縫製工場では、パターンに合わせて布を裁断します。
何枚もの布を重ね、寸分の狂いもなく刃を入れていきます。
一度切ってしまうと、やり直しはできません。また、柄のある生地は、どのパーツも同じ柄が出るようにととても気を使います。
また、縫い合わせる前にパーツにアイロンがけをする「中アイロン」という工程もあります。例えば、ポケット。美しく仕上がるよう、着用時のデザインをイメージしながらアイロンをかけて形を整えます。
こうした工程は、仕上がりが美しく、また丈夫になるだけではなく、次の工程を担当する職人の作業のしやすさも考えられた、日本の縫製工場ならではの仕組みです。こうした、表には現れない部分にも、日本の職人の手仕事が生きています。
日本製の服が身につける方の生活を豊かにできる理由は、職人の技が単なる技術ではないためです。一着一着の服には、使う素材や糸の種類、寸法、縫い代など、細部への確かな配慮が積み重なっています。こうした職人の技術こそが、単なる量産では表現できない、立体的で着心地のよい服を生み出すのです。
地域の伝統が育てた日本の縫製文化の価値

日本製の服の価値は、縫製の技術力だけではありません。日本の高度な縫製技術の背景には、地域の自然や地理的環境を生かして発展し、日本国内の繊維産地が長年積み重ねてきた歴史や技術があります。
長い年月を経て育まれたそれぞれの産地の伝統と技術があります。こうした文化や歴史の積み重ねが、日本製の服に多様で豊かな表情を生み出すとともに、世界から注目される理由となっています。
産地ごとに異なる縫製の特徴
日本には、地域ごとに異なる縫製の技術があり、これらはその産地で生産されてきた生地が背景にもあります。例えば、化学繊維素材を扱う技術が発達している北陸の繊維産地、帆布やキャンパス地のように厚手で堅牢な生地の扱いを得意とする三備産地など、多様な技術がその土地の風土や文化と共に発展し、受け継がれてきました。そうした各繊維産地に合わせて発展した縫製技術の豊富さが、日本の服の個性となり、着る方の満足やファッションの楽しさにつながります。
日本の縫製文化
日本の縫製文化は、古来より日本人の衣服であった和服の生産から、明治・大正時代に洋服の生産へと移り変わる中で、多様な素材と技術が交わってきたことに特徴があります。日本人の衣服文化が洋服に切り変わることで、国内の各繊維産地は従来の和服用の小幅生地だけでなく、洋服を仕立てるための様々な種類の生地の産地に発展していきました。こうしたことに伴い、多種多様な生地を扱う中で現代の日本の高い縫製技術も確立されてきました。
一着一着に宿る職人の想いが生み出す価値
日本の服が人々の心身を豊かに彩るのは、単なる技術では語り尽くせない、職人の姿勢と想いが宿っているためです。一着一着の服には、糸一本、縫い一筋の理由があり、長きにわたり着続けたくなる価値が生まれます。
Made in japanの誤解
みなさんがお店に足を運んだ時、手にとった洋服の製品タグに「MADE in JAPAN」という記載があると、「生地から縫製まですべてが日本で作られた洋服」だと思われる方が多いかもしれません。
ですが、アパレル業界において「MADE in JAPAN」という表示は「縫製地」だけを指すもので、生地についてはどこの国で作られたものかということを言及されることはありません。言い換えると、購入するお客さまにとって、どこの国で作られた生地の洋服か、を確認する方法がないのです。
少し違和感を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、これは国際的な統一規定のため、こうしたルールの上で世界中のアパレル製品は流通しています。
そのため、実際私たちが目にする「MADE in JAPAN」と表示されている洋服のうちの多くは、中国などアジアを中心とする安価な海外産の生地を仕入れ、日本国内で縫製されたものです。
統計では、近年の日本国内に流通しているアパレル製品のうち約1.4%が「MADE in JAPAN」と表記されている衣服だと言われています。(2024年時点での統計)
そして、そのうち、実際に「日本産の生地」を使いかつ「日本で縫製」した衣服は、1%に満たないと言われています。
それだけ、日本国内で織られた生地を使った衣服はほとんど見ることがなく、希少です。
手仕事の価値とその意味
日本製の服や生地に評価や注目が集まる理由に、手仕事の価値があります。
古い機械であるほど価値や風合いは増していきますが、その分人の手間を必要とします。
遠州の機屋さんたちは、パリやミラノで行われるメゾンブランドをはじめとする海外のバイヤーが訪れる世界最高峰の展示会に毎年出展しています。
出展されていた方から現地の様子を聞くと「私たちは“インパーフェクト(Imperfect)”なものを求めているんだ」というバイヤーさんが多かったという話を伺いました。
『インパーフェクト=不完全』という意味で、人間の手を多く介するものだからこそ生まれる不完全な部分を含んでいる、そうした生地が価値を持つ、ということをバイヤーの皆さんはよく理解されているのだということです。
これと少し近しいことがHUISでは以前からありました。
それは、「どこかに生地キズのあるものがいいです、この中にそういうものありますか?」といった感じで、HUIS製品のなかでもキズのあるものをあえて希望して買い求められる方が稀におられるのです。これはHUISをスタートした当初から何度かあって、繊維業界のことによく精通した人ほどこうしたことがありました。それだけ手仕事で作られたものには価値があり、そして現代では希少になってしまっているということだと思います。
日本製の服が長く着続けられる理由
日本の服が長年身につけてもなおその良さを保ち続けるのは、職人自身の確かな技術と細部へのこだわりがあるためです。一着一着が単なる”服”を超えて人々の暮らしのパートナーとして、時間と共に生地が育つ過程も楽しめ、身につける方の暮らしを豊かなものへとかえてくれます。
日本の服がもたらす豊かな着心地と価値
日本の服が着る方の心身を豊かに彩る背景には、単なる素材や縫製技術を超えた要素があります。一着一着に込められているのは、長い年月を経て受け継がれた技、産地それぞれの文化、そして職人自身の真摯な想いです。こうした目には見えない日本の職人の精神が、単なる「服」という枠を超え、身につけるほどにその存在感を増していく一着を形作ります。
HUISの服もまた、こうした日本の縫製職人の技術や精神がつまっています。日本の産地で丁寧に作られた生地、信頼できる縫製技術による洋服は、着る方の日常に自然と寄り添い、身につけるたびに心身が満たされ、豊かな暮らしへとつながります。ぜひ、HUISの服を通じて、日本の職人の技と想いが紡ぎ出す着心地の良さを体感してください。
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縫製技術を活かした日本製の服ならHUIS
販売業社名 | 株式会社HUIS |
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