ブログ

【生地のコト、産地のコト】 2022-07-08

【生地のコト、産地のコト】vol.8 編み物のコト

生地のコト、産地のコトを少し掘りさげ、わかりやすく解説させていただく“生地のコト、産地のコト”シリーズ、第4〜7回にわたって「織物(おりもの)」についてお話ししてきました。第8回目では、「編物(あみもの)」について解説させていただきたいと思います。

タテ糸とヨコ糸の交差でできる生地が「織物(おりもの)」であるのに対し、「編物(あみもの)」は1本の糸でループを作っていき、そのループ同士を連結させることでできる生地のことです。HUISでは【HUIS in house】や、【yohaku】さんとのコラボシリーズで使っている生地が編物です。

繊維に関わっているような方でないと、案外あまり意識しないことかもしれませんが、わたしたちの身の回りにある「生地」と呼ばれるものは、一部の例外を除いてほとんどがこの「織物(おりもの)」か「編物(あみもの)」のいずれかです。

「タテ糸とヨコ糸がある生地」=「織物」
「ヨコ糸しかない生地」=「編物」

と覚えていただくとわかりやすいと思います。例えば、“おばあちゃんの手編みのセーター”は、編物ですね。

この「織物」と「編物」は、その性質が大きく違います。
「織物」は、「織機(しょっき)」を使って織られます。タテ糸とヨコ糸で組成されることから、ハリやコシがあり、丈夫で形状が安定しやすい性質があります。シャツやスーツ生地のほか、デニム、ツイード、チノや、日本の着物・浴衣なども織物です。

一方、「編物」はタテ糸がないぶん、組成する糸の可動範囲が広いことから伸縮性に富みます。カットソー、スウェット、セーター、靴下、手袋、ニット帽、マフラーなどが編物です。

さて、今回はそんな「編物」について詳しく解説させていただきますね。

この「編物」の編み方には、『ヨコ(緯)編』と『タテ(経)編』があります。ヨコ編がヨコ方向に編目のループを連結させていくのに対し、タテ編はタテ方向に編目のループを連結させていきます。

まずは『ヨコ編』から説明させていただきます。

ヨコ編には、平板状の編み機で横方向に編む「横編」と、円筒状に編む「丸編」があります。「よこ」の漢字が2種類出てきてややこしいですが、簡単に言えば「緯編」は「横編」と「丸編」の総称です。ちなみに、「横編」の代表的な産地は新潟県、「丸編」の代表的な産地は和歌山県です。

横編はさらに、パーツごとの形で編み上げる「成形編」、四角に編み織物と同じように裁断、縫製を行う「ニットソー」、機械から出てきた状態で既に製品の形となっている「ホールガーメント」の3つに分類されます。ホールガーメントは、少しの糸始末が必要なだけで、一着丸ごと編むことができるので無縫製ニットとも呼ばれています。服がそのまま機械から出てくるなんてすごいですね。

一方、丸編の生地は筒状で編まれていきます。


丸編みで作られた生地を主に「メリヤス」呼びますが、このメリヤス、漢字で書くとどんな風に書くかわかりますか?答えは、「莫大小」。知らないととても読めない漢字ですよね。伸縮性のあることから、大きくも小さくも変化する生地という意味が語源だそうで、肌着や靴下、ジャージ素材などがメリヤスの代表的なものです。

通常、丸編みの生地は、筒を切り開いて面にする「開反」という作業が必要です。筒状の生地にハサミを入れて一枚の生地にするイメージです。

この開反以降、縫製などの工程は、織物と同じように扱われます。【HUIS in house】の製品は、日本最大の丸編産地である和歌山県で編まれた丸編生地を使っています。

 

編物にも織物の時と同じように、「三原組織」があります。

ヨコ編の場合は、最も基本的な「平編(天竺)」、横方向に伸縮する「ゴム編(フライス)」、縦方向に伸縮する「パール編(ガーター)」の3つです。平編は生地の表裏で見え方が違うのに対し、ゴム編とパール編はそれぞれ表も裏も同じ見え方です。編機の針のポジションにより、他にも非常に多くの種類の編み方ができます。

次に『タテ編』です。

タテ編は伸びが少なく安定感のある編地が特徴で、程よいフィット感を持たせたいユニフォームやスポーツウェアなどの衣料品のほか、カーテンや車のシートカバーなどの産業資材に用いられることが多い編み方です。


タテ編みの三原組織には、最もシンプルな編み方の「デンビー編」、やや厚みのある「コード編」、比較的伸縮性のある「アトラス編」があります。タオルでお馴染みの「パイル編」はコード編みの一種です。

このように編物の組成も非常に奥深いものですが、今回のテーマでは、生地には大きく「織物」と「編物」の違いがあるということをイメージしていただければ十分です。

さて、今回までは、“生地のコト、産地のコト”についてご紹介してきました。
次回第9回からは、“産地のコト”をテーマに、日本全国の繊維産地についてお話ししていこうと思います。ぜひご期待くださいね。

 

【生地のコト、産地のコト】シリーズは、以下からご覧いただけます↓↓

vol.1 繊維のコト
vol.2 繊維から糸へ
vol.3 糸から生地へ
vol.4 織物の三原組織
vol.5 平織生地の種類
vol.6 綾織・朱子織
vol.7 織機の種類
vol.8 編み物のコト

 

■HUIS web blog【生地のコト、産地のコト】
https://bit.ly/35AiXF4

– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
高品質な“遠州織物”を使用したシンプルな衣服。
ふくふくとした豊かな生地の風合いを大切に。
HUISweb | www.1-huis.com
HUISonlinestore | https://1-huis.stores.jp
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –

カテゴリー

オンラインショップ