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【生地のコト、産地のコト】 2022-04-24

【生地のコト、産地のコト】vol.6 綾織・朱子織

生地のコト、産地のコトを少し掘りさげ、わかりやすく解説させていただく“生地のコト、産地のコト”シリーズ、第5回目は織物の三原組織のうち「平織」の代表的な生地の種類についてお話ししました。第6回目は「綾織」「朱子織」の生地についてご紹介したいと思います。

タテ糸とヨコ糸が1対1で織られていく基本的な「平織」と比べ、「綾織」と「朱子織」は、ヨコ糸を、複数のタテ糸をまたいでから下にくぐらせて織った生地です。少しイメージしづらいと思いますので、詳細についてはシリーズvol4をぜひおさらいしていただければと思います。
(vol.4 織物の三原組織 → https://1-huis.com/all/18738)

それでは、それぞれの代表的な生地について順にご紹介していきますね。

 

■綾織

「チノ」
チノパンでおなじみ、厚手で丈夫な綾織の生地です。綾織の特徴であるナナメに織りの目が見える代表的な生地です。歴史的にカーキやベージュ色に染められるのが特徴でしたが、これはもともとチノが軍服用布地だったことに由来しています。チノパンはデニムのジーンズと同じくカジュアルなパンツですが、デニムよりも光沢があるため上品な印象です。

 

「デニム」
しっかりとした太さのある糸を使った厚手で丈夫な綾織の生地です。一般的なデニムは、タテ糸にインディゴで染めた糸、ヨコ糸に白糸を使います。そのため、藍と白が混ざったような色合いになりますが、表地はタテ糸の藍色が多くあらわれ、裏面はヨコ糸の白色が多くあらわれます。
一般的に10番手以上20番手以下の太い綿糸を使い、タテ糸は数百本をロープ状にして糸染めします(ロープ染色)。すると、糸の芯まで藍色に染まっていない「中白」と呼ばれる状態となり、長く使い込むことで生地の表面が摩耗し色落ちした風合いが出るのが特徴です。混同しやすいですが、デニムは生地名、ジーンズは主にデニムを使ったパンツのことです。

 

「ギャバジン」
コットンギャバ、ウールギャバといった名称で知られます。コットンギャバジンはバーバリー社のトレンチコートが代表的です。タテ糸・ヨコ糸ともに細い双糸を使い緻密に織り上げることで品の良い光沢感が生まれます。ななめの織り目(斜文線)が45度以上の急傾斜で水切れが良く、これに防水加工を施したものがコート生地などに使われます。また、上質なウール糸を使ったウールギャバジンは高級スーツなどに使われます。

 

 

■朱子織

「サテン」
三原組織の一つである朱子織は、サテンとも呼ばれそのまま生地名にもなっています。絹や、絹に似せた化学繊維を使うのが一般的で、英語ではそれらを「satin」、綿などの短繊維を使ったサテンは「sateen」と書いて区別します。光沢があり滑らかな生地のため、上質な雰囲気を出したいフォーマルウェアに使われることが多いです。

 

 

「ドスキン」
上質なウール糸を使って、朱子織で緻密に織られた生地。紳士用礼服などに用いられることの多い高級毛織物で、非常にやわらかな手触りと光沢感を持ちます。ドスキンとは、「雌鹿(doe)の皮(skin)」という意味で、雌鹿の皮に雰囲気が似ていることからこの名前がついています。ブレザーやコートなどのほか、消防士や警察官の制帽などにもよく使われています。

 

 

■パイル織(三原組織の例外)

 

「コーデュロイ」
コーデュロイは、「パイル織物」と呼ばれる三原組織に属さない生地の一つです。パイル織物とは、表面に“ループ”を織り出した織物で、タオル生地などが代表的ですね。タオル生地は「ループパイル」と呼ばれループをそのまま残して仕上げますが、コーデュロイ生地は「カットパイル」と呼ばれ、織った後ループの先端をカットし畝を作ります。国産コーデュロイのほとんどは遠州産地で織られており、織った後に長い時間をかけて丁寧に揉み込む作業によって遠州のコーデュロイの特徴である柔らかさと膨らみが生まれます。HUISで使っているコーデュロイは遠州産地の中でも唯一シャトル織機で織っている機屋さんのものを使っており大変希少です。

 

こうして三原組織をイメージしてさまざまな生地をみてみると、その特徴がよく分かるようになり洋服に対する愛着もいっそう湧いてくると思います。
今回ご紹介した他にもたくさんの種類がありますので、お持ちの服がどんな生地でできているか調べたり、実際に着て生活してみた時の特徴を感じていたくのも面白いと思います。HUISではより専門的な名称や、独自の名称を使用しているものもあります。使用している生地はHPやカタログに載っておりますのでぜひご覧くださいね。
https://1-huis.com/textile

 

今回までは「織物」の組織や種類について解説させていただきました。
次回、第7回はこうした「織物」を織る機械=「織機(しょっき)」の様々な種類について解説させていただきたいと思います。

HUISの生地を織る「シャトル織機」が、織機開発の歴史の中でどんな位置付けにあるのか、ぜひご期待くださいね。

 

【生地のコト、産地のコト】シリーズは、以下からご覧いただけます↓↓

vol.1 繊維のコト
vol.2 繊維から糸へ
vol.3 糸から生地へ
vol.4 織物の三原組織
vol.5 平織生地の種類
vol.6 綾織・朱子織
vol.7 織機の種類
vol.8 編み物のコト

 

■HUIS web blog【生地のコト、産地のコト】
https://bit.ly/35AiXF4

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高品質な“遠州織物”を使用したシンプルな衣服。
ふくふくとした豊かな生地の風合いを大切に。
HUISweb | www.1-huis.com
HUISonlinestore | https://1-huis.stores.jp
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